ゲド戦記
2006年 07月 31日
お話はと言うと、多島海世界のアースシーでは、聖なる生物であるはずの竜が人間界に姿を現し、さらに共食いまで始めた。原因不明の病が起こり、魔法使いは呪文を忘れ、農民は田畑を捨て、職人は技を忘れていくなどさまざまな異変が起こり始めていた。やがて人々が魔法を信じることができなくなったとき、大賢人ゲドは世界のバランスを崩す者の正体を突き止めるための旅に出て、父王を殺害し国を捨てた王子アレンと出会う。
あまりにも、映画を見に行った人のレビューが酷かったので、ドキドキしながら行きました。
たしかに、いつもの「ジブリのアニメ」を期待して観に行くと裏切られた気がします。
なぜなら、私が、ジブリの映画の好きなところは、わくわくするような躍動感や明るさ、飛翔感が感じられるからです。愛らしく、いつまでも見ていたいと思わせる魅力溢れるキャラクター。そして、お話が「単純な勧善懲悪」で済まされるものではないから。些細な事柄と思われていたがどんどん大きな話になり、その世界の本質に関わってくるから。見終わってからも心に刺さった棘のようになって、ずっと作品を見た人に対し、考え続けさせるものがあるから。
今回のは、全く逆で、最初はスケールの大きなお話を期待させながら、どんどんスケールが小さくなり、内輪もめのような話になってしまいました。そして、「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」で感じられた「いろんな毒を含みながらも、それを受け入れ、この世界で生きていく。』というような勧善懲悪を超えたストーリーは感じられませんでした。
また、重要なシーンを言葉で説明しすぎたと思います。
言葉でいくら「いのちは大切だ!」と言い続けても、
そんなの耳にタコができるくらい聞いているし、頭では分かっている。
でも、ずしんと、映画を見た人に響かせて、訴えるにはこの方法ではいけない気がする。
それがいままでのジブリ作品にはあったはず。
絵は素敵だったと思います。
ハウス劇場とか、昔のNHKのアニメとか、懐かしさを感じさせるシンプルな絵柄でした。
描きこみすぎの詳細な絵ではなく、力強さを感じさせました。
「宮崎吾朗監督が父の宮崎駿監督に挑戦した映画」というのが私の感想です。
もともと宮崎駿監督がずっとアニメ化したかった『ゲド戦記』を自分の初監督作品に据えたこともそうです。また、アニメの端はしにも、父であり、アニメ界の大巨匠である宮崎駿監督に立ち向かう意志が垣間見えます。アレンは父王を殺した息子と言う設定。
絵の構図でも、重厚な建物は、人間遙かに凌ぐ大きさで立ち塞がります。
登場人物たちは常にそれを見上げ、力ない存在に見えました。
いろいろ、書きましたが、いろんな意味で見に行ってほしいな~。というのが正直な感想。
by spring-springer
| 2006-07-31 15:48
| 映画欲